利用者を経験した強みを生かす

利用者を経験した強みを生かす

利用者を経験した強みを生かす

S.Tさん 事務職

 

利用者から職員に

高校時代 画家になるのが夢だったSさん。自分が描いた絵が賞を取った事もあり、創作に励んでいましたが、ある時突然息が苦しくなる過呼吸に襲われ、精神に障害の特性がある事が分かりました。

その後学校も退学し療養に努める中、

親に買ってもらったマッキントッシュのパソコンがSさんの転機となりました。

これを契機に、Sさんはパソコンを使ってイラストや音楽、ゲームなど様々な作品を作る様になりました。

パソコンと言う新たな表現手段を手に入れたSさんは父親の経営する建築関係の会社でもそれを使ってデザインなどの仕事をしていました。

しかし、父親の会社が倒産。自活を余儀なくされたSさんは、一般就労に向けての活動を始め、B型事業所を経て、5年前の4月リアンのA型事業所に利用者として入所しました。

その後数年間をリアンで過ごしたSさんは、それまでの仕事ぶりが認められ今年4月

リアンの正社員として一般就労を果たしました。

 

昔取った杵柄

十代から慣れ親しんできたパソコンのスキルを買われ、

リアンでのSさんの主な仕事は施設内にあるパソコンの管理です。

業務中、パソコンのトラブルに対処して、修理などを行っています。

休業中で利用者さんがいない施設でもSさんは引っ張りだこ。パソコンが苦手な職員からのSOSに忙しい毎日を送っているそうです。

 

これまでの創作活動が役に立つ

リアンが最近リニューアルしたYouTubeで、イラストも担当する事になったSさん。

障がい者向けの動画の表紙を飾るキャラクターを得意のパソコンでデザイン化し、作画しているそうです。

 

休んでいた音楽活動も再開。

リアンの正社員になってからSさんは個人的に行ってきた同人活動を再開。

また大阪市内にある音楽事務所に作曲家として在籍し、

楽曲を提供し始めました。

プロの道を目指し、休日も休みなしに創作活動をしているそうで、

今後は二刀流で仕事を続けていくそうです。

 

 

利用者から職員に変わって

利用者から職員へと立場が変わったSさん。感想を聞くと

「全然違います」と一言。

(利用者の時は)おんぶに抱っこで自由にやらせてもらえていましたが、

(社員になると)利用者さんに対する責任が伴うようになり気を使う事も多いです」と正直に話してくれました。

 

資格取得を目指し

リアンに来てからSさんは精神面も安定してきたそうです。

Sさんは今障がいがある人が自分の特性にあった仕事が出来るように支援する「ジョブコーチ」という資格取得を目指し、研修を受ける予定だそうで、

今後は、利用者さんに得意なパソコンを使って、イラストや音楽の作り方を教える職業指導員になりたいと抱負を語ってくれました。

 

利用者を経験した強み

Sさんには、リアンのA型事業所の利用者として数年間様々な仕事を経験した強みがあります。

またコロナ禍で在宅が長い間の自己学習に取り組まなければならない利用者さんの「しんどさ」も同じように経験し、その気持ちも良く分かると言います。

 

経験は無駄にならない

パソコンを通じて、Sさんは様々な作品を作って来ました。

これまでやってきた事は決して無駄な事ではなく、指導員としてのスキルとして今しっかり実を結んでいます。

利用者さんの通所が始まれば、Sさんは学習指導員としてだけでなく、利用者の先輩としても良きアドバイザーになると感じました。

 

文責 北村誠一 (広報担当)