
海外生活で身に着いたもの
海外生活で身に着いたもの
F.Tさん 職業指導員
●就職先はインドネシア
Fさんは去年10月リアンに入社した新入社員です。
大学卒業後生命保険会社に勤めながら覚えた語学がきっかけとなり、結婚式のプロデュースの会社に就職。
仕事先はインドネシアのバリ島でした。
●障がい者への二重の差別
インドネシアで生活するようになったFさんはこの国の貧富の差に愕然としました。
Fさんは島民達から寄付を募り、貧しい人たちを支援するコミュニティに所属。
休みの日に家庭を回り、支援物資などを運ぶボランティア活動を始めました。
その活動中、精神を病んだ80歳の老女が木にくくり付けられている現場を目撃。
話を聞くと、若い頃私生児を産んだ事で村八分に遭い、その辛さに耐えきれず精神を病んでしまったそうで、
この国の障がい者は貧困に加え、障がいであるという事でも差別を受ける二重の苦しみにあえいでいる事が分かりました。
支援の手も届かず、苦しい生活を強いられる障がい者の現実を目の当たりにしたFさん。
助けたいという一心からその老女に食事を与え、体を拭くなどの支援活動を続けました。
そんな活動を続けながら、Fさんは約25年インドネシアで暮らし、去年帰国しました。
●電話支援の意味
障がい者への支援を続ける為、日本でも福祉の仕事を選んだFさん。
依存から自立への道を目標とする考え方に共鳴し、リアンに入ったFさんでしたが、
当初「電話で支援する」という意味が理解出来ず、
本当に支援が出来ているか不安があったと言います。
しかし電話支援を続ける中、昨日までは食生活も整いよく眠ることができ、元気に話していた利用者さんが、
突然気分が落ち込み食事が喉を通らなくなり眠れなくなるという辛い状況に一転するのを目の当たりにして、
電話で毎日話す事が利用者さんへの励ましになっていて、
繋がっているという事の大切さを痛感しました。
●チーム内での情報共有
今、電話支援で取り組んでいる内容はチーム内で常に情報共有をしているそうです。
数人のチームで利用者さんをサポートする態勢になっている為、
自分のチームでは、担当した利用者さんの心身の状態などの変化がすぐ分かるよう、
支援後すぐに次の日の担当者に報告し、確実に引き継いでいるそうです。
●ヒーリングの知識が役に立つ
Fさんはインドネシア時代ヒーリングサロンにも勤めた経験があり、
そこでうつ病など心の病に苦しむお客様からよく相談を受けていたそうです。
医学的知識は無いものの、そういう人たちの悩みを聞き、
睡眠の確保や良質な食事、適度な運動の必要性など生活習慣を見直すようアドバイスする事で相談者の症状改善を応援してきたそうです。
この為、ある程度の対応力が身に着いていたのでリアンに入っても利用者さんのお困り事を傾聴し、
お声掛をすることに違和感は無かったとFさんは言います。
●多様性の国インドネシアで身に着けた事
インドネシアは島によって言語が違い、信じている宗教も違うそうです。
そこで実感した事は、考え方や価値観が皆それぞれちがって当たり前だという認識だそうで、
リアンでも1人一人違う障がいの特性や性格を受け入れ、
「利用者さんの状態を見極めながらそれに伴った支援をしていきたい」と話してくれました。
最後に「目標は?」と聞くと「誰かと一緒である必要はなく、自分らしい生き方を見つけるお手伝いをしていきたい。」と明かし、
多様性を認め合う国で四半世紀も過ごしてきたFさんらしい言葉が印象的でした。
文責 北村誠一 (広報担当)